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ポンチョを求めて


 今回の旅行(H18年12月からH19年1月にかけて)で自分へのお土産はアルパカ製のポンチョと決めていた。冬の野外演奏でえらく寒い思いをしたから、ぜひとも本物のポンチョがほしかったからだ。

 その機会は、クスコ近郊の「タンボ・マチャイ遺跡」(聖なる泉、インカ時代の沐浴場といわれる。標高3500メートル)を訪れた時にやってきた。インディヘナの方が画像にあるような露天バザールをやっていて、その中にとても感じの良い赤いアルパカ製のポンチヨがさりげなく広げられていた。

 黒い山高帽をかぶり、幾重にも重ね着したスカートをはいた、太っちょのインディヘナの女性に「 Senora Cuanto cuesta ?」(お姐さん、おいくら?)と尋ねてみた。
 はたして、機会織りの化繊の数倍はする値段だった。(日本で買うと同じ万札数枚分)私は、「No gracias」(いいえ、けっこうです)と言ってすぐに立ち去った。

 すると、彼女は追いかけてきて、「兄さん、いくらなら買うだね」と、どこまでもどこまでもついてきた。僕は「No gracias」を言い続けるが、彼女はどんどん値段を下げ続けた。(聞くところによると、言い値は言い値であって、高く設定されていて、交渉して安くしてもらうのが普通だとか)
 トイレまでついてきて、用足しが終わるまで彼女は待っていて、値を下げ続けた。とうとう車に乗り込むところまでついてきて、結局僕はドア越しにそれを買ったのだった。

 あとでガイド氏にペルーの平均月収を聞いてみたら、私の買ったその値段はその4分の1にあたる額だった。
 品物には満足しているし、高い買い物だったか、安い買い物だったかはどうでもいいことだが、彼女にとっては1週間分の売り上げここにあり・逃してなるものか!!だったことは間違いあるまい。

 その夜夏だというのにクスコの夜はとても冷えた。ホテルには夏布団のようなものしかなく、買ったばかりのポンチョを上にかけて寝た。ポンチョからは未脱脂のせいか「獣臭」がうっすらしてきた。はてよと思ったら、うちの居候のネコと同じにおいがした。

※ポンチョとはケチュア語で、唯一その言語が普通に使われている単語だそうです。(すいません、アイマラ語かもしれません。訪れた天野博物館の学芸員の方が説明しておられましたが、記憶があやふやです。)

(この稿平成19年1月14日記す)

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